10月の花 曼荼羅華 

曼陀羅華~仏が出現したり説法したりする際に、天から降りてきて見る人の心に喜びを感じさせるという美しい花~大辞林 第二版より
きちがいなすび、朝鮮朝顔、ダッラ、なす科の植物。活け花材料に使われるイガ茄子。中南米、インド、中東、原産の一年草。天使のラッパといわれる仲間はアメリカチョウセンアサガオの仲間で多年草です。一年草のダッラにはアルカロイドを含んでいて名だたる有毒植物です。別名をキチガイナスビといいその毒が多いと精神錯乱さへ起こすことがあります。世界最初の全身麻酔による乳がん手術に成功した紀州の華岡青洲が自ら人体実験に身を捧げた妻の協力で、手術のための麻酔薬を完成させた話はよく知られています。この主原料になったのが「曼陀羅華」なのです。この植物の渡来は天和~貞享(1681~1687)の頃だったといわれています。勿論、薬用植物として輸入されたのだと思います。今では郊外のちょっと造成された草地などによく見かけますし、活け花用としても全国各地で栽培され、ヤエチョウセン朝顔や天使のラッパ等は、園芸用で庭などによく見かけます。天使のラッパは木の高さほどに大きくなりすぎる難はありますが、百合の花のような花が咲き見上げると壮観です。耐寒性はやや強いほうで当地清水区市街地などでは越冬します。話は変わりますがインドのデリーから空路2時間南へ行きますとカジュラホの寺院があります。寺院群は東、西のグループに分かれていますが西軍がもっとも大きくヒンズー教建築様式を一番よく残したカジュラホ最大(高さ31メートル)のカンダリヤ・マハデバ寺院があります。建物の周囲には、872体の石造が掘られ、中でも男女交歓のシトウナ像はそのものずばりを表現しながらもとても健康的です。9~13世紀にチャン寺王朝の首都として栄えたところですが、今はその面影もなく寺院郡の周りにはそまつな農家が点在する野原となっていました。最盛期には八十五の寺院が築かれていたそうですが、今は二十二。そのカンダリヤ・マハデバ寺院の周りには見事なヤエチョウセン朝顔が咲き誇っていました。成程この花の原産地だったのかとしみじみ感じました。(第5号1981年10月)